2026年春、「ビジネス文書(オンライン)」という留学生向けの授業を担当することになりました。
本校はビジネス専門学校なので、こういった授業も必修であります。
しかし…日本人向けならまだしも、「留学生向け」です。汗
この記事には私の試行錯誤を残していこうと思います。
同じような授業を担当され、たくさん汗をかいていらっしゃる方の参考になればうれしいです。
内容を考える前提条件
2学年の「ビジネス文書」を担当します。
2年生は1年後期で「ビジネス文書」(一応)既習のため、1年生とは異なる内容が望ましい…と思いました。
1年生は「パソコン触るの初めて」。
つまりタイピングから始める必要があります。
それも、母語タイピングもままならない(たぶん)のに、日本語タイピングを教えなければなりません。
つーことは「ローマ字」から始めるということか。
1年・2年ともに日本語レベルはN4~N2。
授業はN4~N3でつくると伝わると思いました。
「ビジネス文書」が本来扱う授業内容や習熟効果には到底辿り着けそうにないので、学校の管理職に了解を得ておきました。(これ私グッジョブ)
しかし、相当難易度が高いように感じました。
引き受けなきゃよかった、と正直思いました。
1年生の内容
全17回の授業でやったことです。
「ビジネス文書っぽい内容を何とか」
ということで、Eメールを扱うことにしました。
しかし、最近の学生はEメールを使いません。
たいていの用はチャットで済ませます…まぁ私もですが。
とはいえ、Eメールを書くのは敷居が高すぎるので、ひとまずいろいろなEメールを読んで内容を理解するところから始めました。
タイピング練習には外部サイトにとてもお世話になりました。
小学生向けのタイピング練習サイトがよかったです。
漢字変換のある文章のタイピング練習ができるサイトとかあると助かるなあ…。
2年生の内容
17回の授業で扱った内容です。
準備段階で「文書には型がある」ことに気づきました。
たとえば、「つきましては、」の後には依頼が来ますね、そういう感じです。
それで、型を軸に授業を組み立てました。
型導入のための見本文書は自作しました。
「依頼の型」で導入したのが
~ていただけませんか。
です。ここから、「て形」の復習へ繋げました。
「連絡の型」では「報連相(ほうれんそう)」を紹介し、マメな連絡が信頼を築くと訴えました。
そして、「欠席(欠勤)・遅刻・早退」の連絡時の表現として
〇〇のため、△△します。
を導入、作文練習を盛り込みました。
「〇〇のため、(理由)」はN3で扱う文法項目です。
JLPT対策で学んだ項目が実際に使われていることを知ってもらいたいという思いから組み込みました。
「AIの使い方」について
企業への応募書類や学校の課題をこなすのに、AIを使う学生がほとんどです。
まあ、「AIを使う」自体は問題ないのですが、大事なのは使い方だと思います。
所感では、「チェックに使う(本来あるべき使い方)」のは1割ぐらいで、後は丸投げ&コピペです。
実際、「AIで応募書類を書き、企業とのやりとりでもAIコピペで対応していた」ことが原因で選考に落ちたと考えられる例も複数あります。
留学生の場合、選考に落ちる主な理由は「実際の日本語力とのギャップ」だと思います。
具体的には、応募書類は完璧なのに、面接ではグダグダ…とかいう。
で、選考に落ちた本人はどこ吹く風で、同じやり方で数社に挑んでいます。
これは非常にマズいです。
何がマズいのかというと、
第一に本人が選考に落ちた理由に気づいていないまま同じやり方を繰り返していること。
第二に、「あの学校の応募者はAIを使う」という風評が立ちかねないこと。
他の学生が応募したときに、不利になりかねません。
いろいろ話しましたが、こういう事情があり「AIの使い方」を扱いました。
その内容は、
…というものです。
「よいプロンプト」というのは、日本語のレベル指定が入っているプロンプトを指します。例えば「N3ぐらいの日本語で」など。
「こんなの耳に入れてくれる学生はいるのか」と気に病みましたが、メモを取る学生がいたりなど、意外と聞いてくれたみたいでホッとしました。
「AIの使い方」悩ましいですね。
私たち教員も使って便利さが身に染みているために、指導しづらいですが…見て見ぬふりはできないことですね。
タイピング練習の素材
この授業を通してできたもので、
「これはいいのを作ったぞ!」
っていうのがひとつあります。
それは、「JLPT風タイピング練習問題」です。
例)
毎朝6時に( )。
- 寝ます
- 起きます
- 休みます
- 帰ります
学生は答えをチャットします。番号ではなく、語いをチャットします。
制限時間は10秒です。
読めないとタイピングできないので、読みの確認になります。
全体の意味整合性が取れるものを選ぶので、意味の確認にもなります。
例題はN4ですが、N3、N2もあります。
50題ずつ、ChatGPTに作ってもらいました。
JLPT直前期にやってみたら、学生から「おお~」「助かる」との声が聞けて、タイピング練習にもなって…ととてもうれしかったです。
おわりに
予定どおりにはいかない授業でしたが、「ビジネス文書」を教える前に、学生には文字入力・型・連絡の意味・AIとの付き合い方が必要なのだと実感しました。
ビジネス文書というよりは、「知っている日本語で世間を何とか渡っていく方法」を教える授業になってしまいましたが、学生の実態に合わせた結果だと思っています。
完成された実践ではありませんが、同じようなクラスを担当する方の参考になればうれしいです。

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