日本語教師や英語教師の方へ。授業準備に時間がかかって困っていませんか?
授業の準備って、意外に時間がかかりますよね。
“●年生”という学年単位のクラスだと、学生側のレベルはバラバラだし、興味関心もバラバラ。
テキストに沿えばやることが見えてラクか…と思いきや、そうでもなかったり。
この記事では、
・日本人学生に英語
・外国人留学生に日本語
を教えている私の授業準備についてお話します。
常日頃「いかにラクするか」ばかり考えている私のやり方です、お役に立てればうれしいです。
現状の悩み
【英語】対象:歯科衛生士養成校の学生
- 対象人数が多い(大体40人前後。ひとクラス60人だったこともありました…。汗)
- 習熟レベルがバラバラ…どころの騒ぎじゃない(笑)→脱落者を出さない工夫が必須
- 学生の基礎学力欠如=つまらない or わからないとすぐ寝る、スマホをいじる
- 「スン」と白けている/反応がわかりにくいので、こちらも白ける
- 教材はフレーズ集ばかりなので、ダイアログを考える必要あり
- 教材の選択肢が少なすぎる
【日本語】専門学校の留学生
- 集中力が持続しない。もって15~20分。=細切れにタスクを用意する必要あり
- ワークのネタが浮かばなくて困ってネット検索をすると“●ん日”の教案ばかり出てくる。ほしいのはそれじゃない。
- 何かにつけ盛り上がり過ぎる(笑)=恋愛ネタなどは避ける必要あり
- 「N2取らせてください」という学校からのプレッシャー、でも授業は週イチ
あら、悩みばっかりですね(笑)
お悩み解決のヒントはAIにあり
こういった悩みを抱えながら丸腰で授業準備に入り、痛い目に遭ってきました。
長らくスライドも、プリントもイチから自分で作成してきたのですが、去年革命が起きました。
AI革命です。
それからはもう何かあるとChatGPT、Perplexityに頼りまくり、乗り切るようになりました。
工夫…というより、依存といったほうが近いのかも…(汗)
ひとまずAIをどんな風に使っているかお話していきますね。
※私はChatGPTを“参謀”、Perplexityを“パプちゃん”と呼んでいます(笑)
シラバス作成
条件を明示して「シラバスを作ってください。」「テーブル形式で出力してください。」とお願いすればものの1分で出来上がります。
【例:日本語ビジネス文書のシラバス】
パプちゃんへの依頼文:
日本語で書かれたビジネス文書について学ぶ授業があります。1回90分×18回です。
どのようなシラバスが考えられるか、例を挙げて教えてください。《回答》
→パプちゃんが作ったシラバス全部はこちら
(Perplexityの画面そのままではなく、PDFとして保存したファイルをお見せします。)
「イチから自力」でシラバスを作るのに時間がかかるのは、概要や周辺情報を調べて把握する作業が入ってくるからです。
でも、このやり方ならその作業ごとカットでき、大幅時短に成功します。
しかも、1回ごとの授業内容も決まってしまうので、「あ~何しよう…。」と悩む時間までもがカット。素晴らしいです。
それに、パプちゃんのシラバスを見ると「教えるポイント」がわかるというオマケ付き!
素晴らしい~‼
問題作成
理屈を説明するより問題をたくさんさせたいときってありますよね。
そんなときに便利なのがAIに問題を作ってもらうこと。
次のように条件を明示すれば、かなり満足のいく出力となること請け合いです。
- 解答者のレベル(N2受験とか、N4とか。CEFR準拠の“A-1”とかも指標としてわかってもらいやすいです。)
- 問題文で使う語い・単語のレベル(解答者のレベルとターゲットのレベルが開いている場合はきちんと提示したほうがいいです。)
- ターゲットの語彙や文型(💡後述)
- 問題数 または 所要時間(10問 or 10分ぐらいでできる~ )
- 解答も併せて出力するよう頼む。(問題の後にまとめて出力するよう頼むと何かと便利。)
💡「ターゲットの語彙や文型」について
- 複数の用法がある文型の問題作成を頼むときは、用法を指定して何問かずつ作ってもらってからこちらでMIXしたほうがいいです。
- 場面指定(「病院で」「面接のとき」など)するとより実践的な仕上がりになります。
- ChatGPT:ダイアログ形式の問題を作るのはちょっと苦手っぽいです。
【例:選択問題作成】
《指示》
「~ことにする」と「~ことになる」が選択肢になっている2択問題を5題作成してください。 使用語いのレベルはJLPT2級程度でお願いします。
《参謀( ChatGPT )の回答》
もちろんです!以下に、JLPT N2レベルの語彙を使った「~ことにする」「~ことになる」の2択問題を5問ご用意しました。どちらも「決定」に関わる表現ですが、主語や文脈によって使い分けが必要です。
【問題1】
健康のために、毎朝ジョギングをする( )。
A. ことにする
B. ことになる正解:A(ことにする)
解説:自分の意志で決めたことなので「~ことにする」が自然。
【問題2】
来月から新しい部署で働く( )。
A. ことにする
B. ことになる正解:B(ことになる)
解説:自分ではなく会社などの決定なので「~ことになる」が自然。
【問題3】
体調が悪いので、今日は会社を休む( )。
A. ことにする
B. ことになる正解:A(ことにする)
解説:自分で判断・決定した場合は「~ことにする」。
【問題4】
天気が悪いので、旅行は中止する( )。
A. ことにする
B. ことになる正解:B(ことになる)
解説:状況や外部の事情でそう決まったという文脈では「~ことになる」が適切。
【問題5】
先生と相談して、大学に進学しない( )。
A. ことにする
B. ことになる正解:A(ことにする)
解説:最終的に本人の意思で決めたことなので「~ことにする」。
必要であれば、各問題にイラストや音声を加えたり、学習者向けの詳しい文法比較シートを作ることもできます!
同じように3択やJLPT・英検用の問題作成も可能です。
あと、スクリプトがあれば、聴解(リスニング)の問題作成もできました。
長文読解の問題を聴解(リスニング)問題に作り変えるなど、面白かったです。
ただ、難度が上がるので、N2受験の学生にはN3の長文で作成するなどの調整は必要だと思います。
条件作文の問題なんかも作れるらしいので、いろいろ試してみてください。
例文作成
学生のレベルに合わせた例文を作るのも、AIにお願いすれば一瞬です。
たとえば「買い物の会話」を指定すれば、シンプルな例文をいくつも出してくれます。
準備時間が大幅に短縮できるのが魅力です。
AIをあまり触ったことがない…という方は、この例文作成から試すのがお勧めです。
アイデア出し
授業テーマがマンネリ化しそうなときも、AIは強い味方です。
「留学生向けに簡単なディスカッションテーマを考えて」と投げるだけで、授業に使える題材がすぐ出てきます。
自分の頭だけで考えていると限界が来ますよね?笑
そんなとき、思考の壁を破るヒントとして活用できます。
翻訳やニュアンス(英語)
今、世に出ているAI達はだいたい英語ネイティブです。
英語講師としては活用しない手はありません(笑)
【例:ニュアンス差の説明文】
《指示》
say, tell, speak, talkのそれぞれのニュアンスのちがいを、CEFR A-1レベルの日本人小学生に説明したいです。説明文を作ってください。《ChatGPTの回答》
とても簡単に説明してくれています。
読みかたまでカタカナで付けてくれてて、サービス精神旺盛ですよね(笑)
ネイティブの回答なので信頼できますよね。
同様に、文法項目のニュアンス差もとてもわかりやすく説明してくれます。
“have toとmust”こんな鉄板ものとか、”will, be going to, be ~ing” とか、細かいものもOK。
人相手に質問攻めしているわけではないので、遠慮なく追加質問できるのもポイント高いです。
こういう「地味に時間がかかる作業」はAIにお任せしてしまうのがいいと思います。
スライド作成
ついにここまで任せちゃうか、という感じです(笑)
私はスライド作成でかなり時間を使ってしまうほうなので、
「も~、これ見てしゃべっておきなって。」
ぐらいのテンションでスライドが用意されていれば肝が据わっていいかな…と思い試してみることにしました。
Gamma(ガンマ)というWebアプリを試しています。
≪指示≫ 留学生にビジネス文書の基本について説明するスライドを作って。
≪Gammaによるスライド≫
「このスライドの中の日本語を全てやさしい日本語にしてください。」
というオーダーにも見事に応えてくれ、感動すら覚えました。
上のスライドはやさしい日本語版です。
Gammaは、最初にオーダーを出してたたき案を作ってもらった後、AIと対話しながら加筆修正していくタイプです。
【Gammaスライド編集画面】

この前にFeloの“AIスライド機能”も試したんですが、私はGammaのほうが使いやすかったです。
使ってみた感触としては上々。
授業時間すべてを網羅するようなスライドの作成ではなく、「トピックを簡潔に説明するスライド」の作成を頼むと効果的に・二次利用も可能なスライドが作れそうです。
学生のAI使用、許可する?
ここで、本筋から外れますが大事なことだと思うのでお話しておきますね。
私はAIをフル活用して授業に臨んでいますが、そのことは学生にも話しています。
そして、学生にもAI使用を勧めています。
もちろん場面は選びます。
作文のときなんかは「まず自分で考えなさい。」を発動します。
これまで学生にAIを使わせてよかったな~と思った場面を2つ、ご紹介しますね。
- 学生に個別サポートが必要なとき
- 考えても何も浮かばないとき
1について:学生が教師側の説明を聞いてもよくわからないときには、母語でAIを使ってもらっています。日本語で理解するのも大事ですが、母語で理解する方が圧倒的に早く済みます。
2について:“おやつの是非”がテーマのディベートをした際、“おやつ反対派”がとても苦しんでいたのでAI使用を勧めてみました。
「1つのアイデアをきっかけにいくつもアイデアが浮かぶ」という連鎖反応が生まれ、ヒントになったようでした。
学生には、「〇〇と聞くといいと思うよ。」など、活用のヒントも与えています。
まとめ
「苦労して時間をかけて準備するから授業のイロハが身に付く。」
「苦労して時間をかけたのだから、学生にもきっと伝わるはず。」
はい、私もついこの間までこう思っていました。
でも、今はこれは「時間がかかることへの言い訳に過ぎないな」と思っています。
だって、授業準備はさっさと終わらせて、よく寝て授業したほうがよい授業ができますからね。
「イロハが身に付く・付かない」はまた別の話です。
(個人的に、イロハがなかなか身に付かない人は“目的”がちょっと違っていることが多いと思っています。)
今、私が活用しているAIはこの3つです。
- ChatGPT
- Perplexity
- Gamma
それぞれ得意・不得意があると思います。私はこんな風に使い分けています。
- 同僚に相談するようにお悩み相談なんかも交えながら仕事をしたい→ChatGPT
- とにかくネット全域から情報を探してほしい、結果だけでなくソースも参考にしたい→Perplexity
気づけば、「普通に準備をしていたほうが早く終わったのでは⁉(笑)」というぐらい、AI活用に長時間熱中してしまうこともあるのですが、その時間は未来への楽しい投資だと思っています。笑
授業準備を一人で抱え込む必要はありません。ツールや工夫を取り入れれば、もっとラクになります。ラクになっていいんですよ。そういう時代です。
CanvaでもPadletでも、始めた者勝ちです。
まずあなたが身に付けて、周りの人にもシェアしていけば、「AIでなんて…学生に失礼なのでは」という風潮が少しずつ変わっていくはずです。
この記事の内容が少しでもあなたの負担を軽くしてくれますように。

コメント