この記事では、高齢猫ろりーちゃんのヘルペスウイルス感染症の症状、診察、投薬、日常ケアの工夫についてまとめています。
体験談を中心にお届けしますので、同じように猫の健康管理で悩む飼い主さんの参考になれば幸いです。
症状が出た初期の様子
春先、ろりーちゃんの様子がおかしいと感じました。具体的にはこんな感じでした。
- 目やにや鼻水が増えた
- あちこち匂いをかいで回っている
- 食欲の低下→食べようとしない
- 飲水量の低下→自分から飲もうとしない
- 横になる時間が長くなった
- すぐ暖を取ろうとする
- 毛割れして貧相になった
こうした変化に気づき、記録を取りながら観察を続けました。
季節の変わり目に体調を崩す猫さんは多いと聞いていましたが、それにしては異常だと思いました。
鼻がつまり気味で嗅覚があまり利かないのが元凶となっていそうだ、ということに気づくまでにしばらく時間がかかりました。
診察と治療・処置結果
最初の病院
初めに受診した病院では点滴による補液処置だけで限界がありました。
しかし、補液のおかげでろりーちゃんが少し元気を取り戻したのはありがたかったです。
水分補給に効果あり、と思った私は、この頃からウェットフードを朝晩あげることにしました。
次の病院(今のかかりつけ医院)
前の病院ではこう言われました。
「うちではこれ以上のことはできません。もっと良くしたいならめいちゃんに紹介した病院へ行くことをお勧めします。」
ハッキリ言われてしまったので、もう「良くする目的で」前の病院にはかかれません。
「高齢だし、現状維持でいいのでは。」
と渋る主人を説得し、めいちゃんのかかりつけに来院。
そこで、ヘルペスウイルス感染症の疑いがあることが判明しました。
先生はまず、ろりーちゃんの身体検査をしてからお口の中を観察していました。
「カリシウイルスだと口内炎だったり、歯が悪くなりがちなんですが…、この子、お口の中は結構きれいですね。」
こういうわけで、先生はおそらく「ヘルペスウイルスだろう」と当たりを付け、次の処置を行い、指示くださいました。
- インターフェロン(注射)(抗ウイルス・免疫UP)
- クロダミン(注射)(鼻炎を抑える)
- ファムシクロビル(投薬指示/1日2回・1回につき1/4錠)
- 次回来院は4日後・再度インターフェロン注射予定
結果、ろりーちゃんはみるみる間に回復。
注射のおかげでお鼻が通ったからか食欲も戻りました。
少し前のように寝てばかりではなく、再び歩いたりジャンプしたりするようになりました。
投薬・ケアの記録
症状に合わせて、投薬や日常ケアを行いました。
【試したお薬など】
- ファムシクロビル
- インターフェロン点眼薬
- 眼軟膏(ゾビラックス)
- はならくSP
- 毎日免活(サプリメント)
- Lリジン粉末投与(サプリメント)
このうち、今でも行っているのが次の3つです。
- 2. インターフェロン点眼薬
- 4. はならくSP
- 6. Lリジン粉末投与
以下1~6それぞれについてひとつずつ説明します。
参考までに「効いた度合い」を★の数で表してみます(★5つが最高)。
ファムシクロビル(投薬)‐判定不能
ファムシクロビル‐判定不能
噛んで吐き出してしまい投薬不可
お薬って、“ごっくん”してくれたら超助かりますよね。ところがろりーちゃんは“嚙みたい子”らしく、“ごっくん”をしません。お薬をおやつやフードでくるんで薬臭さを消しても、ろりーちゃんがお薬そのものを噛んでしまい、吐き出してしまいます…。
(ファムシクロビルはとても苦いお薬のようです。)
残る方法は「オブラートでくるむ」「喉の奥に落として飲ませる(これが正攻法)」です。
しかし、インターフェロン目薬が効いて症状が和らいでいたのが幸いして、「無理に飲ませる必要はない」との主治医のお達しが。
なので、今は保険として持っているだけです。
インターフェロン点眼薬(点眼)★★★★★
インターフェロン点眼薬‐★★★★★
非常に効く。現在も朝晩2回点眼中。
1日4回ぐらい点眼してもよいと聞いていますが、うちは朝晩2回にしています。
【目薬の差し方】
- 目薬を冷蔵庫から出し、手で温める(出したてを差すと冷たくて猫さんビックリ→失敗確率UP…)
- 猫さんの背後に回り、声をかけて目薬を見せる(予告)
- 背後からあごを持ち上げ、親指で下まぶたを軽く下げる(目の周りの粘膜に触れないよう注意)
- 背後から目薬を差す
- しっかり褒める
猫さんは正面から近づくと警戒したり怖がったりするので、横や背後からの方がよいそうです。
コツは「正面から行かない」。
【参考になった動画】

ゾビラックス眼軟膏(塗布)‐★★☆☆☆
ゾビラックス眼軟膏(塗布)‐★★☆☆☆
体質に合わず塗布中止。
ゾビラックス眼軟膏は、ろりーちゃんの体質に合いませんでした。
というのも、塗布成功後数分経つと、目やに・涙が止まらなくなってしまったのです。
目がしょぼしょぼして気持ち悪いのか、前足で何度もゴシゴシこすってしまい、目の周りが赤く腫れてしまっていました。
しかも、目やに・涙は塗布後長くて半日続きます。
大量の目やに・涙が出ている間、鼻水の症状は治まっていました。
が、その代償としてこれではろりーちゃんへの負担が大きすぎると思いました。
この副反応さえなければ、効き目は「大いにアリ」と言えたと思います。
副反応のことを主治医に伝え、今は中止しています。
中止する前の頻度は1日1回でした。
塗布すること自体は練習してできるようになったのですが…、残念です。
慣れれば、流れ落ちる目薬よりやりやすいと思います。
はならくSP(塗布)‐★★★★☆
はならくSP(塗布)‐★★★★☆
効き目そこそこアリ。随時塗布中。
名前のとおり、塗ればお鼻がラクになるようです。
目薬と同じような方法で、鼻の穴に液をすり込むように塗布しています。
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猫さんがなめてしまっても身体に影響はないそうです。
「なんかしんどそうだな~」と思ったときに塗ってあげると、お鼻がラクそうです。
ただ、医薬品ではないので効き目は穏やかです。
劇的に良化…とかはないと思います。
毎日免活(サプリメント)‐★★★☆☆
毎日免活(サプリメント)‐★★★☆☆
効き目アリ。しかし90日ほどで飽きて続行不可能に。
インターフェロンと同じような理屈で、免疫力を上げてウイルスに対抗するのはどうかと思い、試してみました。
こちらも医薬品ではないのでAmazon等で買えます。
かつお味の錠剤とミルク味の粉末の2種類ありますが、ろりーちゃんはかつお節が大好きなので、錠剤を選びました。
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小さめの丸型ドライフードと同じぐらいの大きさです。
(ヒルズ 腸内バイオームのドライとそっくりな形状でした。)
腸バイと混ぜてお皿に置いていたら、いつの間にか食べていました。
効き目は上々で、その頃の記録を見ると飲食量が底上げされているのがハッキリとわかります。
飲食量が増えるにつれて、活発に動くようになりました。
しかし、あげ始めてから1カ月半経った頃、ろりーちゃんが錠剤を避けて食べるようになりました。
ピルクラッシャーで砕いてウェットフードに混ぜると、フードごと食べません。
終わったな、と思いました。
人工的なかつお味には飽きてしまったようでした。
今はミルク味の粉末を試してみようとしているところです。
Lリジン粉末(サプリメント)投与‐★★★★☆
Lリジン粉末(サプリメント)投与‐★★★★☆
効き目アリ。現在も500mg/日 投与中。
まず、Lリジンの説明を引用しておきます。
L-リジンは、犬も猫も不足しやすい為、継続的に摂取が必要な必須アミノ酸の1つです。
また、免疫機能の健康維持に欠かせない成分と言われています。
L-リジンの摂取により免疫機能の健康を維持しヘルペスウイルスの増殖を抑制することも期待できます。ウィズペティ公式HP内“成分辞典‐Lリジンについて”より引用
今、1日に500mgをウェットフードに混ぜて与えだして1カ月経ったところです。
Lリジン粉末は無味無臭です。
見た目・形状は片栗粉みたいです。とても細かい。
投与を始めて明らかに変わったと思うのは、飲食量です。
“毎日免活”を服用しているときと同じか、それ以上に食べたり飲んだりしていると思います。
また、毛割れがなくなり、元のふわふわろりーちゃんに戻りつつあります。
しかし、インターフェロン点眼薬の効果が切れているときには目やに・涙が出たり、鼻水は常時少量出ています。
つまり、Lリジン単体での効果は大きくはないということですね。
まあ、Lリジン投与が功を奏すのは症状の出始めらしいので、うちの場合投与開始がちょっと遅かったかもしれません。
それでも、食べたり飲んだり進んでしてくれるのはとてもうれしいです。安心します。
Lリジンも医薬品ではないのでAmazon等で買えます。
いろんなメーカーが出していて迷うと思うので、うちであげている商品をご紹介しておきます。
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ちなみに、サプリメント系の勝率が高いので、βグルカン含有のフードをあげることを計画しています。
総じて、免疫力を上げることに注力して投薬・ケアを行っています。
日常生活での工夫
ろりーちゃんが快適に過ごせるように、日常生活でいくつか工夫しました。
寝床の複数確保
諸症状が強く出ていてしんどそうだったときにまず行ったのは、寝床の複数確保です。
- 薄暗い
- 四方が囲まれている
- 温かい
- 材質がそれぞれ異なる
これらを全て満たすべく、段ボールハウスを自作したり、シープボアのひざ掛けを猫ベッドに敷き詰めたりしました。

ろりーちゃんが特に気に入ったのはシープボアのひざ掛けでした。
一時は、ひざ掛けを“ふみふみ”してそこで眠りにつくのが日課になっていました。
ブラッシングで血行促進
毛割れとともにフケがかなり出ていたため、ブラッシングをこまめにしました。
抜け毛やフケも取れますし、血行もよくなります。
ブラッシングには、猫さんの身体全体に皮脂を行き渡らせて毛ヅヤをよくする作用もあるそうです。
常なる水分補給
朝晩のウェットフードに加えて、しょっちゅう猫壱のウォーターボウルでお水を飲むよう勧めていました。
勝率は約3割と低かったですが…。
ブリタの浄水ボトルで浄水にしたものを勧めたり、器を変えたり、冷蔵庫の中で汲み置いてカルキを抜いたりいろいろ試しましたがどれもそこまで効果はありませんでした。
ですがあるとき、ボウルの中身を35℃ぐらいのぬるま湯にしてみたところ、がぶがぶ飲むじゃありませんか。
こんな単純なことでいいのかと拍子抜けしました。
このことがあってから、お水とウェットフードの温度に気をつけるようになりました。
食べやすいフード
この時ろりーちゃんは15歳、ハイシニアです。
しかし、高齢だからというだけでなく、病気の猫さんは体力があまりありません。
それで、「ごはんを食べる」ただこれだけでも体力を消費し、疲れてしまうようだ…というのを発見しました。
具体的に説明します。
はじめ、ろりーちゃんには“カルカン 15歳以上のまぐろ”をあげていたのですが、食べるのに非常に時間がかかっていました。
めいちゃんへも同時にあげて、しかもめいちゃんの方が2倍量でも、めいちゃんが先に食べ終わっていました。
食べる様子を観察してみたところ、どうやら具を咀嚼するのに時間がかかり、疲れてしまうようだということがわかりました。
疲れてしまった後は食べないので、残してしまうことになります。
「食べない」のは困るので、なめて食べられるペースト状のウェットフードをあげると、完食。
以降、ろりーちゃんのウェットフードはペースト一択となりました。
ドライフードも食べる様子を観察して「粒が小さく」「ひと粒が軽い」ものを選んであげるようになりました。
舌に粒をくっつけて口に運んでいるのを見たので、“軽い”も大事な要素だと思いました。
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これらの工夫によって、ろりーちゃんが少しでも快適に過ごせるように、というのはもちろんですが、長い目で見ると私自身の負担軽減にも繋がっていると思います。
多頭飼いの場合、それぞれの傾向をつかむのは骨が折れますが、傾向を知っていればいざというときに対策が打てます。
経過と私の気持ち
通院やケアを続ける中で一番困ったのは、やはり「食べない」「飲まない」です。
高齢ということもあり、長時間飲まず食わずだと後々響くのでは…と強制給餌をしようか非常に迷っていた時に今の主治医に診てもらい、適切な処置を施してもらえたのがとてもありがたかったです。
定期的に通院し経過を見るようになってからは、「お薬を飲ませられない」ことにとても悩みました。
お薬が飲ませられないとなると、後はどうなっちゃうんだろうと、眠れぬ夜を過ごしたこともありました。
しかし、「お薬が飲ませられない」ことを主治医に告げると、その返答は意外にあっさり、しかしとても頼もしいものでした。
「まだやりようはあります。お薬はお守りとして持っていてください。」
ここでインターフェロン目薬が登場するわけです。
はじめ、インターフェロン目薬は目にしか効き目がないものと勘違いしていました。
ですが、調べてみると目から鼻、そして免疫の活性化と効果が全身に及ぶことを知り、驚くとともにとても感動しました。
そして、主治医に診てもらって本当によかったと思いました。
この思いは今では尊敬へと変わっていっています。
ろりーちゃんのケアを続けているうちに、猫さんにとって嗅覚は人が考えている以上に大事なのではないか、と考えるようになりました。
初期、鼻づまりで嗅覚が鈍ったろりーちゃんは、ヨタヨタしながらそこら中の匂いを嗅いで回っていました。
またトイレで自分の匂いを探すのに苦労し、鳴いていたこともありました。
フードを出されても、食べていいのかどうか、判別できなくて困っていたかもしれません。
こういう姿を目の当たりにして正直ショックでした。
「かわいいだけで一緒に暮らしてきたけど、ろりーちゃんはもうおばあちゃんなんだ。」
と改めて目の前に突き付けられたような気持ちになったからです。
相手がおばあちゃんなら、と、フードの形状に配慮したり、香りが立つように温めたりして今は落ち着いています。
いつかろりーちゃんは、自分で食べられない日が来るでしょう。
ウイルスが目に悪さをして、ろりーちゃんの視力を奪ってしまうかもしれません。
そういう日が来るのは本当に怖いし、嫌ですが…それまでろりーちゃんができるだけ「猫らしく」過ごせるようにお世話し続けたいなと思っています。
ただ目の前の命が愛おしい、そんな気持ちを持たせてくれたろりーちゃんに感謝しています。
まとめ:高齢猫のヘルペス感染症に対する心得
【高齢猫のヘルペスケアで大切だと思ったこと3つ】
- ヘルペスウイルス感染症、早期発見と早期処置が肝要
- 日常的なケアを継続することが元気に過ごす鍵
- 飼い主が小さな変化に気づくことが、症状から「その猫らしさ」を守ることにつながる
ろりーちゃんの小さな変化に気づきながら、一緒に毎日を大切に過ごすこと。それだけで、ヘルペスウイルスの症状が出ていても安心して穏やかに暮らせるんだなと改めて感じました。
この記事が同じように悩む飼い主さんの参考になれば幸いです。
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