猫の馬尾(ばび)症候群

猫のからだ・健康
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猫は体調不良を隠しがち…といいますが、本当でした。気づいたときには『ジャンプしない猫』が爆誕していました…(涙)

馬尾症候群ってどんな病気?

『馬尾症候群』でWeb検索すると、専門家しか理解しないであろう記述やら図解やらが出てきますね…。まぁ、検索するより病院で説明を受ける人のほうが多いのでしょう。

私が「わかりやすい!」と思ったページのリンクを貼っておきます。

犬と猫の馬尾症候群について│腰や尻尾の付け根の痛みが特徴(とがさき動物病院)

馬尾症候群(ばびしょうこうぐん)は変性性腰仙部狭窄症(DLSS)に代表される神経の病気で、腰と尻尾の間にある神経(馬尾神経)が圧迫されることで痛みを感じることが特徴です。

とありますね。

うちの猫、めいちゃんを病院へ担ぎ込んだのは、「後ろ足のふらつき」により後ろに尻もちを付き「ぎぃやぁぁーーー」と鳴いためいちゃんを見たからでした…。よくよく見てみると、トイレのときにしっぽが上がっていなかったり、ジャンプを避けて前足で椅子によじ登っていたり…。きっと痛みも相当なものだったと思います。もっと早く気づいてあげていれば…。ごめん、ほんとごめんねめいちゃん。

で、病院へ行ったらどうなったん?

車で5分のかかりつけに行くのはお恥ずかしながら7,8年ぶりでした…。診察券はありましたが、当然のことながらカルテはなくなっていました。簡単に問診を取ってもらい、いざ診察。院長先生に診ていただきました。

実はめいちゃん、最後にこのかかりつけに来たときは、

太りすぎてお尻をなめようとすると後ろに転がっちゃうからお尻が汚い

という症状でした…(恥)後ろに尻もちとか後ろに転がるとか後ろが好きみたいです(ちがう)。

当時の体重は確か8㎏(‼)でした。しかし!!今回体重を測ったら…なんと4.8㎏まで落ちていました。以前が重すぎだったとはいえ…3.2㎏もの減量がマズいってのは獣医学に疎い私でも理解できます。

院長先生に症状や様子を話すと、レントゲンを撮ることになりました。と同時に血液検査もしていきます。数十分の後、院長先生から説明があり、

「血液検査に異常はなかったが、骨に異常が…おそらく馬尾症候群じゃないかと思います。」

っとのことでした。初耳な病名で全くわからなかったです。

「うちではこれ以上は何もできないので、紹介状を書くからMRIとか撮れる病院へ行ってください。」

え、えむあーるあい…⁉ 

すごい大事(おおごと)になってますがな…。

ってなわけで、「MRIとか撮れる」かつ「できれば神経が専門の先生がいる」病院を探すことになりました。

そして見つけたのが今のかかりつけ医です。信頼できそうな病院が見つかってよかった!と思う反面…私はこれからかかる医療費が心配で心配で仕方がありませんでした。

だって、お金がなくて治療を受けさせてあげられないなんてことになったら、私死んでも死に切れません。頭の中は「アイフル」「ほのぼのレイク」「ちょびっとモビット」がぐるぐるして、「ちょびっとじゃ済まないじゃろうな…」と思っていました。

専門医による診察 秒で立ち上がっためいちゃん

近所の病院へかかってから専門医の病院へ行くまで2日ありました。この2日、とっても長く感じました。明けない夜はないのかもしれないけど、ずっと夜ってつらいんだからね!!と意味のわからない毒づきをしていました。

というのも、うおーうおーという夜中の咆哮、おしっこの粗相、食べない飲まない、寝返りが打てない、触ると痛がる…うちは猫さん2匹ですが、どちらも病気らしい病気をしたことがなかったので、「看病とは?」状態した。

また、私ら夫婦、どちらも丈夫なため、「食欲がないときは食べたいものを食べる」的なライフハックの持ち合わせもありませんでした。つまり、病気の人や動物をどう扱っていいのか全くわからなかったのです。

どれだけ気をつけてもある程度の痛みは起きてしまいます。しまった、と思ったときにはめいちゃんにガチの威嚇をされて(「ハーっ」てやつ)凹みました。

全然関係ない話ですが、歯科医師で子どもを診るのが嫌だ、という人の話を聞いたことがあります。「こっちはむし歯を直しているのに、いいことをしているはずなのに泣かれて嫌われて疲れる」から嫌なんだそうです。ガチの威嚇をされたとき、この歯医者さんの気持ちが痛いぐらい理解できました。こりゃツライわ。理不尽ですらある。歯医者さんは診療報酬が入るからまだいいですが、こっちは心折られてお金も払って、なわけで。踏んだり蹴ったりです。

…と紆余曲折あり、ついに専門医に会える日が来ました。

人気の病院で、結構待って診察室に案内されました。近所の病院から紹介状と血液検査の結果とレントゲンは共有されていたので、早速獣医師による身体検査が始まりました。

足をトントンしたり、人間の「脚気(かっけ)」を調べるときみたいな、膝の下コンコンもしてました。お腹を触ったり、などひとしきりした後、

「麻痺はないみたいですね~。」
と嬉しい一言が!!
「だから、まず今ある痛みを取って、それから後のことを考えましょう。」

それから、予約が詰まっているだろうに、30分ほどかけてめいちゃんの状態と予想される予後をお話してくださいました。めいちゃんが便秘で、おそらく長期間にわたり飲水量が少なかったこともあり、うんちが出ずに固くなってしまっていることも教えてくださり、可溶性繊維(サイリウム)入りフードのサンプルをたくさんくださいました。

「しっぽの付け根が痛い」

ただそれだけなのに、多岐にわたって影響が及び、死には至らないものの、健康寿命は縮みQOLは下がる…そんな猫生のどこが楽しいというのか、と思うと、あきらめずに病院へ連れてきてよかったと心底思いました。

そして、奇跡の瞬間。先生がオンシオール注射液をめいちゃんに打ちました。

「はい、じゃあ注射と同じお薬を出しておくので、それが無くなったらまた来てくださいね。」

めいちゃんをキャリーに入れて、待合に戻り、お会計を待ちました。
このとき、私と主人の間にめいちゃんのキャリーを置いていたのですが、…めいちゃんがキャリーの中で「すっく」と上半身を上げた気配を感じました。


驚いてキャリーを覗くと、めいちゃんが「にゃあ」と言いました。最近とんと聞いていない普通のあいさつみたいな鳴き声。

涙が溢れて止まりませんでした。よかった、よかっためいちゃん。

(注射の効き、ハンパねぇ…!!)

家に帰ってめいちゃんが一番最初にしたことは、ベッドに上がってくつろぐことでした。それまで痛くて登れなかった大好きなベッド。それからぐっすりと眠りました。痛みがなく眠れるなんて、どれぐらいぶりだったでしょうか。

投薬と炎症の鎮静化

めいちゃんに処方されたのは、オンシオールというお薬です。来院翌日から5日間飲ませました。

投薬も初めてでしたが、オンシオールというお薬の嗜好性の高さ・小ささに助けられ、難なく飲ませることができました。ちなみに、普通のちゅ~るで隠してツルっと飲み込んでもらいました(笑)

ちなみに、この後別記事で出てくるお薬の中にはすっごい苦いやつがあるのですが、これだと投薬難易度が跳ねあがります。もしもオンシオールがそういうお薬だったら…と思うとゾッとします。

良薬は口に苦し、といえども、オンシオールのような頓服としての役割もあるお薬だと、「一刻も早く効かせたい」みたいなときに飲ませることもあるわけで…。それが「苦い=マズい=飲ませにくい」だったら非常に困ると思います…。猫さんにとっては「苦い=腐敗してるかも=危険」なので、飲まない可能性を上げてどーすんだ!みたいな感じです。

ともかく、5日間投薬し炎症を抑え、飲み終わった頃再び来院しました。

この間、めいちゃんは1日ごとに以前の調子を取り戻していきました。でも、高所からのジャンプは避けるようになっていました。馬尾症候群は完治を目指すなら外科手術が必要であるため、服薬でやり過ごすのであれば炎症が起きないように刺激を抑えることが肝要。高所からのジャンプは、着地時に後ろ足周りに負荷がかかります。やっぱり自分のことはわかっているんだなぁと感心しました。

私にとってのこの5日間は、経験したことのない罪悪感とそこから派生する責任感にまみれた時間でした。つらかったです。(今は別の意味でツラいです。笑)
この話は別カテゴリ『飼い主メンタル』ででも話せたらいいなぁ。

さて、再び来院し獣医師の診察。上々の滑り出しとのことで、今度は15日間分のオンシオールを処方されました。オンシオールというお薬は、反復投与は6日間までなのです(猫の場合)。5日飲んだ状態で来院し、その夜の投与を6日目として、あとは漸減していくようご指示いただきました。

この指示にドキドキしました。だって、怖いじゃないですか…。
毎日お薬を飲んでいるから安定している、と思っていた私には、1日空けることがとても怖かったです。

またあの断末魔のような咆哮を断続的に聞くことになるのか…痛みを誘発してはいけないから、抱っこすることもできない、何もできない無力さを呪いながら朝を迎えるのか…。

…と勝手に悲壮感にあふれている私をよそに、その夜めいちゃんは何事もなかったかのようにスヤスヤ寝ていました(笑)。どうやら炎症は結構収まっているようです。

結果として、15日分あったお薬を5日分残し、服薬停止・経過観察となりました。
1月20日に近所のかかりつけ病院へ行き、経過観察となったのが3月末ですから…2カ月ぐらいかかりましたね。この間私は仕事をできるだけ休み、お世話にまい進しました。

そして寛解期・気をつけること

この病気、予防ができるようなものではないらしいです。飼い主ができることは、猫の習性と愛猫の普段の様子をよく知っておくことだと思います。

歩く姿ひとつでも、なんかグラついてないか?とか、最近おやつをねだるときにしっぽが上がってないぞ、とか。たまに意味なく呼んでみてしっぽで返事するかどうか確認するとか(笑) 個人的には便秘やおしっこの回数が理由なく減るのは疑わしいと思います。がまんしてるかもしれませんからね。がまんさせるような何かが起こっている、ってことです。

ひとまず、馬尾症候群は寛解期に入りました。

その後、というか馬尾後期から別の問題が浮上してくることになるのですが、それはまた別の機会に。

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